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修身斉家治国平天下

理事長 土谷晋一郎

「修身斉家治国平天下」は、中国の古典『大学』にでてくる言葉です。身も心も健康になって、まず健全な家庭づくりをはじめることが肝要であり、その土台の上に国が治まり、天下が平和になるという教えです。この順序が大事であって、修身斉家なしに治国平天下はありえないのであり、結局、国民各個人が健全な生活を送り、健康的な家庭を営むことが国家の安定をもたらすという内容であります。

先日、財団法人健康・体力づくり事業財団より、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」で、健康寿命の延伸に向け、2010年度をめざして具体的な目標が提示されました。21世紀の日本をすべての国民が健やかで心豊かに生活できる活力ある社会とするために、従来にも増して、健康を増進し、発病を予防する「一次予防」に重点を置く対策を強力に推進し、早世(早死)や要介護状態を減少させ、健康寿命の延伸をめざしています。具体的には、2010年を目処とし、9つの領域で70の目標を設定しています。9つの領域とは、以下のとおりです。

  1. 栄養・食生活(適正な栄養素・食物の摂取、適正な栄養素・食物摂取のための行動の変容、行動変容を支援するための環境づくり)
  2. 身体活動・運動(身体活動に対する意識、運動習慣)
  3. 休養・こころの健康づくり(ストレスの低減、睡眠の確保、自殺者の減少)
  4. たばこ(たばこの健康影響についての十分な知識の普及、未成年者の喫煙防止、受動喫煙の害の排除(分煙)・現象のための環境づくり、希望者への禁煙支援)
  5. アルコール(多量飲酒者の減少、未成年者の飲酒防止、「節度ある適度な飲酒」の知恵の普及)
  6. 歯の健康(う蝕・歯周病の予防)
  7. 糖尿病(生活習慣の改善、早期発見、治療の継続)
  8. 循環器病(生活習慣の改善、循環器病の早期発見)
  9. がん(生活習慣の改善、がん検診の受診者の増加)

さらにこの領域の中で、70の目標が具体的に定められています。例えば、適正体重の到達の目安については、現状24.3%の20〜60歳代男性の肥満者(BMIが25以上)を2010年には15%以下に、又、現状25.2%の40〜60歳代女性の肥満者を2010年には20%以下と設定しています。

ところで、フランスの教育政策の専門家であるジャック・コリノー氏の「不思議の国の学校教育」によると、欧米諸国では、教育(とくに義務教育)の主たる機能をずばり「労働力をつくること」と考えている人が多いのだそうです。これに対し、日本の学校では、「経済や金銭活動を何か卑しいもの」と考える傾向が強く、子供のときに「利益の大切さ」をきちんと教えないばかりか、ときには「利益を敵視する」ような教育が行われているよいです。即ち、日本の教育は、資本主義国のなかでかなり例外的なものなのだそうです。戦後の学校教育で、民主主義の原理・原則と人権の大切さを教えてきたため、日本人の心に「公共」と「公平」の観念が根付くようになったと言われております。しかしながら、資本主義の原理・原則である「効率を有線する哲学」と「利益を善とする思想」が育たず、急速にグローバリゼーションが進む昨今、グローバルスタンダードを要求され、欧米と同じ資本主義の土俵に立たされるようになってしまい、日本の社会・経済の運営が厳しい局面を迎えつつあるのだそうです。

日本経済が下降に向かっているのは、ある程度致し方ないことかもしれないと語る人もでてきており、「健康日本21」に示されるように、国の政策も富国(Wealth of Nation)より健国(Health of Nation)を優先する時代になりつつあるように思われます。国民一人一人が、健康的な生活習慣を確立し、健康な家庭をつくることができれば、日本国の再生を促すという図式になるとのことです。修身斉家の仕事は、まさに保健・医療・福祉の最前線にいる我々の大きな任務であり、健国が実現できるよう地域社会に貢献することができればと思っております。