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健康増進法案

理事長 土谷晋一郎

財団法人健康・体力づくり事業財団より、「21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)」が2000年に公表され、健康寿命の延伸に向け、2010年度をめざして具体的な目標が提示されました。この健康日本21を後押しする法律「健康増進法案」が、さる2002年7月26日、参議院本会議で「健康保険法等改正案」とともに医療制度改革法案として成立しました。「健康保険法等改正案」は、2002年10月から、70歳以上の高齢者の負担は定率1割、さらに一定以上の所得がある高齢者の負担は定率2割とし、2003年4月からは健康保険本人の自己負担が2割から3割に上がるというものですが、「健康増進法案」では、「第一章第二条(国民の責務)、国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない。」と定めています。日本国憲法では、「第二十五条(生存権)、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」と規定されておりますが、今後は、健康について、「自立自助」することを要求されるようです。

食習慣、運動習慣、休養、喫煙、飲酒等の生活習慣が、その発症・進行に関与する疾患群を、1996年に、当時の厚生省「公衆衛生審議会」が、生活習慣病と名付けました。従来は、成人病と呼ばれていた疾患群で、年をとれば誰にでも起こる病気ととられかねない面がありましたが、実は生活習慣が基礎にある病気で、早い段階から予防に心がけ、発症を防ぐことが可能な病気がほとんどですので、生活習慣の改善を促す目的で生活習慣病という概念が導入されました。生活習慣病には、成人型糖尿病(2型糖尿病)、肥満、高脂圧症、高血圧、肺扁平上皮癌、慢性気管支炎、肺気腫、循環器病、歯周病、アルコール性肝疾患などが含まれています。

さて、生活習慣病から自分を守る上で有酸素運動が効果的とされています。日本においても近年増加傾向を示す虚血性心疾患は、リスクファクターの1つが運動不足であり、運動が不足すると有酸素能力が低下し、虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞が増え、逆に運動している人では、有酸素能力が高くかつ虚血性心疾患、狭心症、心筋梗塞が少ないことが数多く報告されています。有酸素運動はいわゆるエアロビクスと呼ばれる運動で、エアロビックダンス、歩行、ジョギング、サイクリング、テニス、バレーボール、ゴルフ、遠泳などが含まれます。腹腔内内蔵脂肪が多くなると、糖尿病、高脂圧症、心臓病などのさまざまな生活習慣病の原因となることが報告されており、この腹腔内内蔵脂肪をとるにはジョギングなどの有酸素運動をして脂肪を燃焼させる必要があります。適度な運動強度は、最大酸素摂取量(1分間に体に取り入れられる酸素の最大量であり、その人の有酸素能力をあらわす指標)の40%ないし70%とされていますおおざっぱに言えば、体力に自信のない人は40%、自信のある人は70%を目安にします。運動時間については、有酸素運動をはじめて15分くらい経ってから、からだの脂肪の燃焼が始まるといわれており、運動時間は連続して1回20分以上が目安です。せっかく運動しても、その運動の効果は3日から4日で消失してしまいます。週2回の頻度でかろうじて前回の効果が残り、週3回なら前回の効果がかなり残存する計算になり、運動の効果が蓄積されます。

人口集団を疫学的に追求した研究がいろいろと行われた結果、老年に達せずに死亡する要因のうち、不健康なライフスタイル因子が原因となる死亡は50%を占めていると言われています。法律で健康増進を義務付けられるのも不思議な気がしますが、ライフスタイルの中で喫煙、たばこの影響は非常に大きく(葉巻よりも紙巻煙草の方が影響大)、習慣的なある特定の酒の飲酒(少量の場合、ワインが比較的予後良好)、太りすぎ・痩せすぎ(BMI=22程度が予後良好)、睡眠不足・寝すぎ(睡眠時間は7時間程度が理想的)、運動不足などが寿命に影響を及ぼす因子です。こういった点がライフスタイルの目標であり、一つでも多くクリアできれば理想的です。