いま求められている医療の最高レベルを目指すとともに、明日の医療のあり方 に機能しよう/医療法人あかね会

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アリとキリギリス

理事長 土谷晋一郎

アリとキリギリスは、有名な寓話ですが、この寓話を引用して、2006年頃から訪れるであろう冬に備え、今はアリとなってコツコツ蓄えを増やすようにと説く方がいらっしゃいます。病院関係者の中でも、昨年頃より、2006年からは大変になるという声が聞こえておりました。診療報酬改定は2年に1度、介護報酬改定は3年に1度行なわれるのが慣例となっています。診療報酬改定は2004年4月に行なわれましたが、次回は2006年4月に予定されています。2003年4月に行なわれた介護報酬改定も、次回は2006年4月に予定されております。

日本の医療制度の特徴は、官僚の裁量権が非常に大きいという点です。100%自費の自由診療ではなく、保険医として保険診療を行なう限り、診療報酬・介護報酬の規定を忠実に遵守する義務があります。診療報酬の改定は、この春、贈収賄事件の舞台となった中央社会保険医療協議会(中医協)で諮問され、厚生労働大臣に答申された後、決定されることになっています。この中医協に提出する原案を考えるのは、厚生労働省の官僚です。さらに、シーリング制という、年間の医療費総予算の上限を決めるのは、財務省の官僚であります。介護保険の保険者は、市町村となっており、介護保険料を納める働き盛りの中年が少なく、介護保険を使う高齢者が多い町や村は、介護保険のやりくりが大変で、このことも平成の大合併の引き金となっています。開始されてまだ5年目ですが、もうすでに財源がパンクしそうな介護保険制度の見直しはまったなしとなっていますし、医療保険の財源の方も危機に瀕しています。2006年には、厚生労働省が、診療報酬と介護報酬を、抜本的かつドラスティックに見直しするということがほぼ確実な雰囲気です。

ところで、殆ど全ての新聞で2004年6月26日付け朝刊に、「国の借金700兆円超─国民1人あたり550万円に」という記事が掲載されていました。これは、6月25日の財務省発表を記事にしたものです。「2004年3月末の国の借金(国債・借入金・政府短期証券の合計額)は、703兆1478億円となり、国内総生産(GDP)の1.4倍となった。今年度は国債を36兆6千億円新規発行する予定で、国の借金がさらに膨らむのは確実だ。この他に、地方が抱える借金は、約199兆円となっている。重複分を除いた国と地方の債務残高は計870兆円程度となり、GDPの約1.7倍に達した。」と書かれていました。第2次世界大戦中のミッドウェイ海戦時に、当時の日本国の債務残高はGDPの約1.5倍に達しており、終戦時には、債務残高はGDPの約2倍だったそうです。「国家の債務残高がGDPの2倍を超えると従来の政策を維持するのは非常に難しい、と言われている。このままでは、2006年頃から日本国の債務残高はGDPの約2倍になりそうだ。」といった点が、前述のアリとキリギリス論者の根拠になっているようです。

診療報酬は、国家予算に占める医療費総額を、シーリング制のもとに財務省が定め、その総予算の中で厚生労働省がやりくりするという流れになっているわけですから、国家財政が厳しくなると、医療機関に多大な影響がでるのは避けられないでしょう。先の国会で通過した年金法案についても、わけが分からないように書かれていますが、よく読むと「くわせものの大改革」で、要は、今後の国家の年金の支払いをうまく軽減できた、国家にとっては都合のいい法案となっています。これから先本当にどうなるのかということは、予測できるものではありませんが、これから冬がくるかもしれないと思って準備して、キリギリスのようにうかれないように、という警鐘と考えるべきでしょう。医療現場にいる我々としては、目の前の患者様の病気が一刻も早く治るよう、常に最善を尽くすという医療従事者としての基本姿勢を片時も忘れず、医学・医療レベルの向上に常に、取り組むべきであると考えております。けがや病気に苦しんでいる患者様が、もう一度日常生活に戻り、経済活動に復帰し、社会生活に100%カムバックできるよう努めるのが、医療従事者の使命であります。我々が進む道は、医療法人あかね会の理念「いま求められている医療の最高レベルを目指すとともに、明日の医療に機能しよう」の追求であると信じております。最先端の技術を持つ医療スタッフ、最高の医療施設という、ソフト面、ハード面の充実ができるよう一歩一歩着実に歩んでいきたいと思っております。