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リスクマネージメント

理事長 土谷晋一郎

「2001年を患者安全推進元年とする。」と厚生労働省は宣言し、それ以来、省を挙げて医療安全に取り組んでおります。我々も、従来にも増して、病院内でのリスクマネージメントに懸命に努力し、奔走しております。ところで、この夏「日本沈没」という映画がリメイクされ、公開されています。日本国のリスクが増大していることを暗示する映画なのかもしれません。昨今、尖閣諸島周辺での中国問題が話題になっておりますが、これは将来のエネルギー確保のため、中国が国策として行なっている資源調査であります。アフリカ最大の産油国であるナイジェリアは、治安状況がコロンビアやチェチェンに相当するほど悪化しておりますが、治安悪化に恐れをなし欧米メジャーが去った後、中国がナイジェリアの石油資源を買い漁っています。さらに、中国はケニア、イラン、ベネズエラにも触手を伸ばしています。中国のエネルギー自給率は現在100%ですが、近い将来のエネルギー不足を見越して、石油・天然ガス確保に躍起になっています。日本の場合、1960年には56%あったエネルギー自給率が、現在20%に減少しています。この20%には海外から輸入されるウランによる原子力も含まれており、原子力を除くとわずか4%になってしまうそうです。

さらに食料についてもリスクが膨らんでいます。1965年に73%あった日本の食料自給率は、年々減少し、現在は40%になってしまっています。他の先進国は、フランス130%、アメリカ119%、ドイツ91%、イギリス74%となっており、わが国の食料自給率は主要先進国の中で最低水準です。世界的に食糧危機が懸念されていますが、人類にとって食糧危機の震源地はアジアなのだそうです。アジアには現在、世界人口の約6割(36億人)が住んでいますが、2050年には98億人(国連人口基金予測)になった時も、約6割の59億人が住むと推定されています。ローマクラブのドネラ・H・メドウスらは「限界を超えて」の中で、21世紀前半に世界の食糧生産が急速に減少する時代が訪れ、食糧危機がおこると警告しています。

ところで、1989年ソ連崩壊により、経済危機・エネルギー危機に直面したキューバは、有機農業により、食料自給率を高めました。経済危機によって石油は半減し、化学肥料、農薬が使える量はそれぞれ25%、20%に減ってしまったそうです。化学肥料の代わりに有機質肥料を用い、農薬の代わりに昆虫や微生物を使ったそうです有機農業の技術は、伝統的な農法とバイオテクノロジーの両方が支えた、とのことです。

最近、原油価格高騰、ガソリン高により、アメリカでもエタノール混合ガソリンが普及し始めています。ガソリンに10%のエタノールを混ぜた「E10」と呼ばれる混合燃料の利用が主流ですが、エタノール比率が85%の「E85」と呼ばれる燃料の利用も急増中だそうです。このエタノール燃料については、ブラジルが先駆者です。ブラジルでは1973年の石油危機を契機にサトウキビを原料とするエタノールによって石油を代替する「国家アルコール計画」を実施し、1985年には自動車燃料の半分をエタノールがまかなったそうです。1990年代になり「国家アルコール計画」が廃止され、一時消費者のエタノール専用車離れが進みましたが、2003年に、ガソリン、エタノール、混合燃料のいずれでも走行可能なフレックス燃料車が新車の7割に達しているそうです。ブラジルでは、サトウキビの出荷先が砂糖工場からエタノール工場にシフトした結果、粗糖生産が減っているそうです。そのため砂糖相場が上昇し、日本のジャムの値段が上がってきています。油上の楼閣と言われる日本のリスクマネージメントは容易ではなさそうですが、国家のリスクをどうマネージメントするか、この秋の自民党総裁選で方向性が決まりそうです。