土谷総合病院

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診療科・各部門

Introduction of Department

くすりの窓

蝉しぐれがにぎやかに夏を奏でております。

今回のテーマは 便秘 についてです。

2018年7月

便秘とは

便秘とは3日以上排便がなく、ときには1週間以上排便がないことをいいます。また、毎日排便があっても量が少なかったり、便が硬かったり、残便感があってすっきりしないといった場合も、便秘といいます。症状は排便機会の減少だけでなく、残便感や腹痛、腹部膨満感(お腹が張る感じ)、食欲不振などがあります。ただし、排便回数は人により異なりますので、3日に一回でも、不快でなければ便秘とはいえません。

排便までのしくみ

口から体に入ってきた食べ物は胃や小腸で消化され、水分の多いドロドロの液状となって大腸に向かいます。大腸ではゆっくりと水分が吸収されて固形化され便塊となり肛門へと送られます。

もし便塊が何日も大腸内に留まってしまうと、水分吸収が進みさらに硬く小さくなります。

腸の動きは自律神経に支配されています。胃に食物が入った刺激で便を肛門に向かって送り出すぜん動運動が始まります。そして、便が直腸に達すると大脳に刺激が伝わり、便意をもよおします。

しかし、ストレスにさらされると、自律神経がうまくはたらかないため正常な腸のぜん動運動が起こらず、便が滞って便秘につながります。

健康な大腸の動き

便秘の種類

便秘の原因は、人によって異なります。器質性便秘と機能性便秘3種類の計4種類に分けられます。症状に合った対処をするためにも、自分の便秘の種類を把握しておきましょう。

器質性便秘

イレウス、大腸がんなどの器質的な異常により、小腸・大腸に通過障害が起こるタイプ。血便、激しい腹痛、嘔吐などがあればすぐに病院へ!この場合、腸管穿孔を起こすおそれがあるので下剤を使用してはいけません。

機能性便秘
あなたの便秘はどのタイプ?

便秘の原因はひとつではない

チェックをしたらカテゴリーをまたいで、たくさんチェックがついてしまった・・・そんなときは、便秘の原因が複合していると考えてください。さまざまな組み合わせが考えられます。

便秘になってしまうメカニズムは思った以上に複雑です。スルッと気持ちよいお通じは腸を動かすメカニズム、腸の健康を保つ仕組み、排便をスムーズにする環境など、さまざまな要因が互いに影響しあって実現するもの。自分の便秘はこのタイプだから、これさえすれば治る!というわけにはいかないことが多いのです。

Aに5つ以上チェックのあなた

Aに5つ以上チェックのあなたは腸の動きが悪い弛緩性便秘です。大腸の動きが悪くなって、腸のぜん動運動が十分行われないため、便を押し出すことができず、腸に便が溜まってしまうタイプ。

■特徴

  • 硬い便
  • お腹にガスが溜る
  • お腹が張る
  • 残便感がある

■対処法

  • 運動不足が大きな原因なので、筋力をつける
Bに5つ以上チェックのあなた

Bに5つ以上チェックのあなたは腸が過緊張をおこしているけいれん性便秘です。ストレスなどによって、自律神経が乱されて、腸がけいれんするように動いてしまい、便がスムーズに肛門の方にうまく進んでいかず便秘になるタイプ。

■特徴

  • 便秘と下痢を繰り返す
  • ウサギの糞のようにコロコロとした便

■対処法

  • ストレスが大きな原因なので、とにかくストレスを軽減させることが効果的
Cに5つ以上チェックのあなた

Cに5つ以上チェックのあなたは直腸に便がたまる直腸性便秘です。便が肛門付近の直腸まできているのに、排便反射が起こらず、直腸に便が停滞してうまく排便できないタイプ。

■特徴

  • 便が出にくい
  • いきまないと出ない
  • 残便感がある

■対処法

  • 便意を感じたらすぐにトイレに行く

便秘の解消方法

① こまめな水分摂取

水分摂取量が少ないことや発汗などにより、体内の水分が不足し、便が固くなります。こまめな水分補給をしましょう。朝、起きがけにコップ一杯の水を飲むことで、腸が刺激され、腸の運動が活発になります。

② 我慢しない

便意を感じた時にトイレに行きましょう。日常生活の中で便意を感じた時にトイレに行けず、我慢してしまうことはあると思います。しかし、我慢してしまうと便意はいつのまにか消えてしまいます。直腸に便が停滞すると、水分が腸に吸収されるため便が固くなり、ますます排便困難になってしまいます。便意を感じたら、我慢せずに出すように心がけましょう。特に朝食後は便意を感じやすいですが、朝忙しいとついつい我慢してしまいます。 時間に余裕を持てるように少し早めに起きるなどの工夫が大切です。

③ ストレスをためない

ストレスは、自律神経の乱れを引き起こします。副交感神経の働きが鈍くなってしまうとぜん動運動も弱まり、便秘を引き起こします。ストレスがたまっている方は、原因となっているストレスを知って取り除くようにしましょう。

④ 食物繊維をとる

食物繊維は消化されにくく便に水分を蓄えるため、便の量が増え排便しやすくなります。食物繊維が少ないと便の量が増えにくく、腸の動きが低下します。食物繊維が多い野菜、玄米や雑穀、海藻、豆、いも、きのこ、果物などを積極的にとりましょう。

⑤ 規則的な生活リズムをつける

事の時間がバラバラ、睡眠不足などで生活リズムが不規則だと便秘になりがちです。毎日時間を決めて一定時間トイレに入ることを心がけましょう。朝食後がおすすめです。排便反射が起こることで、腸の動きも可発になり、排便習慣をつけやすくなります。

⑥ 適度な運動をする

運動は、腸の動きを活発にします。特に排便時は腹圧をかけるため、腹筋が大切です。自分の年齢や体力に合わせて、適切な運動を定期的に行ってください。

便秘薬(医療用医薬品 当院採用薬)

便秘薬と言っても実に様々なものがあり、錠剤・液剤・坐薬などがあります。効き方も特徴があり、便をやわらかくするもの、腸を刺激し排便を促すものなどがあります。その中でも浸透圧性下剤は腹痛を伴わず耐性も生じにくいという特徴があり、刺激性下剤は効き目が実感しやすいが、腹痛が起こったり、使い続けると習慣化することがある等の特徴があります。

マグミット®錠/酸化マグネシウム細粒(浸透圧性下剤)

腸内にある水分を集めて内容物を膨らませます。その刺激で腸が動いて穏やかな下剤として作用します。 胃酸を中和する作用があるので胃酸過多を抑える制酸剤としても働きます。

マグミット®錠 酸化マグネシウム細粒 酸化マグネシウム細粒

※特徴・注意点

  • 腸で水分を集めるため、服用時はお水をたくさん飲むことで効果が大きくなります。
  • 酸化マグネシウムは腸管からほとんど吸収されませんが、わずかに吸収されるため長期間連続で大量に服用したり、腎機能が悪い方は高マグネシウム血症になることがあるので注意が必要です。しかし、決められた用法用量を守って服用すれば高マグネシウム血症はほとんど起きません。
センノシド錠/アローゼン®顆粒(刺激性下剤)

欧州で古くから使われていたセンナという植物の葉や実などの抽出物を製剤化したものです。 胃や腸では吸収されず大腸の腸内細菌によって活性化して大腸を刺激します。

センノシド錠 アローゼン®顆粒

※特徴・注意点

  • 習慣性があるので長期間連続で服用していると耐性が生じて効果が弱くなってしまうことがあるので注意が必要です。
  • 服用すると尿が黄褐色~赤色に着色することがありますが、薬によるものなので心配いりません。
アミティーザ®カプセル

小腸で作用し腸管内への水分の分泌を増加させ、便を柔らかくすることによって、排便を促します。

アミティーザ®カプセル

※特徴・注意点

  • 他の便秘薬は大腸で作用しますが、アミティーザは小腸で作用するため下痢になりにくいといわれています。
  • 慢性的な便秘により水分不足で便が固くなってしまった場合などに効果的です。
  • 新しい薬のため、薬価が高く、また市販薬に同じ成分の薬がありません。
ピコスルファートナトリウム内用液(刺激性下剤)

刺激性下剤ですが胃や小腸では作用せず、大腸の腸内細菌によって活性体に変換されて効果を示す薬です。液体の下剤なので量の調節が簡単に行えます。

ピコスルファートナトリウム内用液

※特徴・注意点

  • 習慣性は比較的少ないですが、長期間継続して服用すると腸管粘膜に炎症を起こすことがあるため頓用として使うのがよいでしょう。
テレミンソフト®坐薬(刺激性下剤)

結腸や直腸の副交感神経を直接刺激して腸の運動を高める刺激性下剤です。 胃でも作用してしまう成分のため、腸だけで作用するよう坐剤となっています。

テレミンソフト®坐薬

※特徴・注意点

  • 妊婦に対しての使用は子宮収縮を引き起こして流産・早産につながる可能性があるため推奨されません。
ツムラ潤腸湯エキス顆粒(医療用)

主に便を軟らかくすることで排便を促す漢方薬です。肌が乾燥している人、特に高齢者の弛緩性またはけいれん性便秘に向いています。

ツムラ潤腸湯エキス顆粒
クラシエ桂枝加芍薬湯エキス細粒

「大黄」を含まない便秘薬であり、「大黄」の刺激が問題になりやい高齢者や妊娠中の女性にも使いやすい漢方薬です。また腹部の膨満感や、頻繁に便意が起こるのに少ししか便が出ない体質の方にも有効です。

クラシエ桂枝加芍薬湯エキス細粒

病態を把握し、適切な治療を行うことが大切

慢性便秘症の患者さんは男女ともに加齢により増加しています。慢性の便秘症に対して薬の服用を続けることは根本的な解決になりません。まずは食生活、生活習慣の改善が基本です。自己判断で複数の便秘薬を組み合わせる、使い分けるのはおすすめできません。便秘薬の耐性や依存性が早く進行する恐れがあります。慢性便秘についての病態を把握し、適切な治療を行うことが大切です。