土谷総合病院

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診療科・各部門

Introduction of Department

くすりの窓

朝夕の寒さが身にしみる季節となりました。

今回のテーマは 風疹 についてです。

今年大流行している風疹は、前年度を上回り患者数が急増しています。風疹はいったいどんな病気で何が問題なのでしょうか。

2018年11月

風疹とは

風疹は風疹ウイルスによる感染症であり、感染力が強く飛沫感染(保菌者のくしゃみや咳による飛沫)でヒトからヒトへ感染が伝播します。風疹は子供がかかる病気と思われがちですが、最近日本では大人の発症が9割近くを占めています。

感染すると約2~3週間後に全身に細かい発疹がでて、発熱やリンパの腫れを引き起こします。ただし、ほとんど症状を出さずに感染している(不顕性感染)もかなりの割合でいると考えられています。

風疹の症状は子供では比較的軽いと言われていますが、大人がかかると、発熱や発疹の期間が子どもに比べて長く、関節痛がひどいことが多いとされています。

■風疹の主な症状

  • 発疹
  • 発熱
  • リンパ節の腫れ
  • 目の充血
  • 軽い咳
  • 関節痛
風疹は妊婦が感染すると大変!!

妊娠初期(妊娠20週ごろまでの妊婦)に風疹ウイルスに対する免疫が不十分な妊婦が感染すると、先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれてくる確率が高くなります。

先天性風疹症候群とは

先天性風しん症候群とは、妊婦が妊娠初期に初めて風疹ウイルスに感染すると胎盤を通じて赤ちゃんに感染し、生まれつきの病気・異常を引き起こしてしまうことです。

症状は先天性心疾患、難聴、白内障です。感染時期にお腹の中で作られる器官に影響を及ぼすため、先天性心疾患と白内障は妊娠初期3ヶ月以内の母親の感染で発生するが、難聴は初期3ヶ月のみならず、次の3ヶ月の感染でも出現すると言われています。

■先天性風疹症候群・・・妊婦の感染で胎児に影響(妊娠20週頃までが特に注意!)

  • 難聴
  • 心疾患
  • 白内障・緑内障・網膜症
  • 低出生体重
  • 発育の遅れ

風疹の予防法は?

先天性風疹症候群を発症すると、確実な治療方法がありません。

そのため母親にあらかじめ風疹ウイルスに対する免疫を付けることが有効であり、ワクチンによる予防接種が強く推奨されます。

風疹ワクチンについて

風疹ワクチン(主に接種されているのは、麻しん風しん混合ワクチン)を接種することによって、95%以上の人が風しんウイルスに対する免疫を獲得することができると言われています。また、2回の接種を受けることで1回の接種では免疫が付かなかった方の多くに免疫をつけることができます。さらに、接種後年数の経過と共に、免疫が低下してきた人に対しては、追加のワクチンを受けることで免疫を増強させる効果があります。

風疹ワクチンは、接種してから抗体ができるまで2週間以上かかるとされているので、早めに受ける必要があります。また風疹ワクチンは生ワクチンのため妊婦さんに接種することはできません。妊婦さんがワクチンを接種するには出産後に打つことになります。

生ワクチンとは発病させる力を弱くした(弱毒化)ウイルスを培養して増やし、凍結乾燥させた生ワクチンと呼ばれる種類のワクチンです。感染とは違いほとんど症状は出ませんが、弱くてもウイルスは生きているので、病気などで免疫力の弱い人や妊婦さんには接種することができません。

ワクチン接種の注意事項

生ワクチン接種後は4週間後の同じ曜日から、不活化ワクチン接種後は1週間後の同じ曜日から接種することができます。今の季節に接種するインフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。

■生ワクチンを接種した場合・・・

生ワクチン接種した場合

■不活化ワクチンを接種した場合・・・

不活化ワクチンを接種した場合
風疹ワクチン接種状況
風疹ワクチン接種状況

平成2年4月生以降はワクチンの2回接種が推奨されたので2回接種された方が増えています。抗体検査を受けることが出来るので気になる方は検査してみてください。

※広島市では、主に妊娠を希望する女性に対して、無料の風しん抗体検査を実施しています。

風しん抗体検査の対象者は、以下のとおりです。風しん抗体検査を受けることができる者は、本市に住民登録している者のうち、次のいずれかに該当する者とします。

  • 妊娠を希望する女性
  • 妊娠を希望する女性と同居している者
  • 妊婦と同居している者

ただし、次に掲げる者を除きます。

  • 過去に風しんの抗体検査を受けたことがある者
  • 過去に風しんの予防接種を1回でも受けたことがある者
  • 血液検査により確定診断を受けた風しんの既往歴がある者
  • 二歳未満の者
  • 同居者である妊娠を希望する女性又は妊婦の風しん抗体価が、次に掲げる風しん抗体価(※)以上である者
    (LA法 30IU/mL  HI法32倍  EIA法 EIA価8.0(デンカ生研)又は30IU/mL(シーメンスヘルスケア・ダイアグノスティクス株式会社及び極東製薬工業株式会社)又は 45IU/mL(シスメックス・ビオメリュー株式会社及びベックマン・コールター株式会社 )

※風しん抗体価(注:EIA法については使用する検査試薬の製造メーカーによって異なります。詳しくは医療機関にて御確認下さい。)

風しん抗体価
風疹ワクチン定期接種について

風疹麻疹混合ワクチンは2回接種します。

1回目は1歳のお誕生日、2回目は幼稚園、保育園の年長の4月~6月です。この2回は定期予防接種になるので原則として無料で受けられます。

さいごに

風疹は一度かかると多くの場合、生涯かかることがないと言われています。風疹自体は決して怖い病気ではありません。一般的にその症状は軽く、数日の経過で回復しますが、まれに高熱が続いたり急性脳炎などの合併症を生じて入院が必要になったりするケースもあります。

風疹は子供の病気と思われがちですが近年では、子供より大人の間で風疹の感染が広がっています。しかし流行は続いていますので注意が必要です。