Introduction of Department
初夏の風が清々しい今日この頃、若葉萌える好季節となりました。
暖かい日も続いていますが、そろそろ肌の露出が増えてくると思います。
そこで、今回のテーマは 外用薬による光線過敏症 です。
2020年5月
光線過敏症とは、光を浴びることで皮膚症状が生じる病気です。薬剤や遺伝性疾患、代謝性疾患などを原因として発症することがあります。
光線過敏症では、光を浴びると皮膚が赤くなったり、かゆくなったりします。薬剤が原因となっていることも少なくありません。
今回は薬剤による光線過敏症について学んでいきましょう。
内服薬・外用薬いずれも原因となることがあります。内服薬では、向精神薬や抗ヒスタミン薬や抗菌薬や消炎鎮痛薬や降圧薬や抗がん剤などの一部の薬剤が原因となり得ます。当院の外用薬では、消炎鎮痛薬の貼付剤であるケトプロフェンテープや塗り薬のセクターローションが光線過敏症の原因となる可能性があります。
湿布を貼った後に赤くかぶれたことはありませんか?
湿布を貼ったという物理的な刺激でかぶれる、薬が体に合わなくてかぶれることもあると思います。
それ以外に、湿布を貼っただけではかぶれず、湿布を貼った後に日光に当たると赤くなることがあります。
これは「ケトプロフェン」という成分を含む湿布で多く見られる「光線過敏症」という副作用になります。
この副作用で厄介なのは、湿布を貼っている時だけ紫外線に注意すればいいというわけではないことです。
薬の成分は、湿布をはがした後でも皮膚に残り続けます。
「ケトプロフェン」という成分を含む湿布の説明には「はがした後も4週間程度は貼っていた部分に日光を当てないように」と記載されています。
また、「ケトプロフェン」だけでなく、同じような痛み止めの湿布でも「光線過敏症」が起こることもあります。
湿布による光線過敏症を予防するには、紫外線を通しにくい長そでや長ズボン・サポーターで覆い、直接貼付部分に紫外線があたらないようにすることが大切です。
湿布を貼っている間だけでなく、はがしてからも皮膚にその成分が残るので、4週間は紫外線を避けましょう。サンスクリーン剤でカバーするのもよいでしょう。
もし、症状が出てしまったら、湿布の使用を中止し皮膚科専門医に見せましょう。
治療としては、ステロイドの塗り薬や抗アレルギー剤を使用します。症状が消えてからも、衣服やサポーターなどで紫外線から皮膚を守るようにしてください。数か月経っていても場合によっては、紫外線にあたると症状が再び現れることがありますので注意が必要です。
通常の接触性皮膚炎とは異なり、光に当てなければ症状は起きません。紫外線に当てないことで予防できる副作用ですので、面倒と思わず、使用方法を守って効果的に湿布を使用しましょう。
これから紫外線の強い季節です。
薬の使用も紫外線対策も、正しく安全に行いましょう。