土谷総合病院

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診療科・各部門

Introduction of Department

くすりの窓

新緑のきれいな季節になりました。
気温もぐんぐんあがって夏の気配が感じられる今日このごろです。

今回のテーマは 胃薬 についてです。

市販の薬でもおなじみの胃薬ですが、薬によって効き方が違うことはご存じですか?。
今回は主要な胃薬の違いや注意点についてご紹介したいと思います。

 

2022年5月

消化器を痛める原因

<p胃には、胃酸などの攻撃因子から胃壁を守る防御因子が備わっています。

攻撃因子には胃酸、ペプシン(消化に関わる物質)などがあります。防御因子には粘液、プロスタグランジンという物質などがあり、両者のバランスが保たれて正常な状態を維持しています。

このバランスが崩れ、攻撃因子が強くなる、または防御因子が弱くなると胃に不調が起きることがあります。

例えば、胃のむかつき、痛み、吐き気などの軽度症状から、重度になると胃に潰瘍ができたり、胃酸が逆流して食道を痛めたりといった症状も起こる可能性があります。

攻撃因子と防御因子のバランスを崩す要因として以下のようなものがあります。

  • 加齢
  • ストレス
  • 寝不足、過労
  • 刺激物の多い食生活(カフェイン、辛い物など)
  • 一部の薬剤(痛み止めなど)
  • 感染症(ピロリ菌など)

薬物治療としては大きく以下の3つ方針があります。

  • 胃酸の分泌を抑制する
  • 胃酸を中和する
  • 粘膜の防御機能を高める

ここで、当院で扱っている胃薬についてご紹介します。

①胃酸分泌抑制薬

過剰な胃酸の分泌や、胃酸自体が作られるのを抑えることで胃粘膜へのダメージを抑える薬です。胃酸分泌抑制薬には以下のようなものがあります。

H2ブロッカー
H2ブロッカー

H2ブロッカーは効果が現れるのが比較的速いですが、効果が長続きしないことがあります。H2ブロッカーの中には腎機能により減量が必要なものもあります。

プロトンポンプ阻害薬(PPI)
プロトンポンプ阻害薬(PPI)

PPIは効果が現れる早さは穏やかですが、効果が長続きし、現在では胃酸分泌抑制薬の第一選択として使われています。

カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)
カリウムイオン競合型アシッドブロッカー(P-CAB)

タケキャブ®は新しい効き方のお薬で、効果が現れるのは速く、効果が長続きする特徴があります。

②制酸薬

強酸性である胃酸をアルカリ性の物質で中和し、刺激性を軽減する薬です。
炭酸水素ナトリウムは血液が酸性にならないように保つ効果があり、酸化マグネシウムは便を軟らかくする便秘薬として使われることもあります。

制酸薬

※カルシウムやマグネシウムといった金属イオンは一部の抗生剤などの吸収を妨げる可能性があります。他のお薬との飲み合わせが気になる方は気軽に薬剤師にお声掛けください。

③防御因子増強薬(PGE1製剤、粘膜保護薬、組織修復・粘液産生分泌促進)

防御因子である粘液の分泌を増加させたり、胃粘膜の血流量を増加させることで胃粘膜を保護したり、傷ついた組織を修復する効果がある薬です。

防御因子増強薬 防御因子増強薬

ピロリ菌の除菌薬

冒頭でご説明した通り、胃へのピロリ菌感染は、攻撃因子と防御因子のバランスを崩すことで消化性潰瘍の原因となります。ピロリ菌の除菌は、菌を殺す抗生剤と胃酸分泌を抑える薬を組み合わせる治療が標準的です。

そのため1つのシートに抗生剤と胃酸分泌を抑える薬がセットされた製剤が使用されています。

ピロリ菌の除菌薬

ピロリ菌の除菌は7日間薬を飲み切る必要があるため、自己判断で内服をやめず最後まで飲み切るようにしましょう。

もしかしてピロリ菌に感染しているかも?と思われる方は、当院で検査できますのでご相談ください。

消化性潰瘍のリスクのある薬剤

医師の処方通り正しく使用すれば現れにくいですが、お薬の中には胃の痛みの副作用が現れるものもあります。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。

NSAIDs(ロキソプロフェン、ジクロフェナク、モービック®、セレコキシブ®)

痛み止めや炎症を抑える目的でよく使われるお薬です。その一方、防御因子を低下させることで胃の痛みの副作用があることが知られています。
使用する際は、用法用量を守ることや、食事をとってから内服することが重要です。 この中でもモービック®、セレコキシブ®は比較的消化器への影響は小さいと言われています。

ステロイド(プレドニゾロン、プレドニン®、メドロール®、デカドロン®)

ステロイドとは、副腎という臓器から分泌される、体とって重要な副腎皮質ホルモンを薬にしたものです。ステロイド薬は過剰な免疫を抑えたり、炎症を抑えたり様々な効果がある反面、副作用が起こる可能性もあります。その1つとして防御因子を抑えて胃痛が起こることがあります。
ただし、ステロイド薬は非常に重要なお薬ですので、副作用が現れても自己判断で飲むのをやめずに、医療スタッフへご相談ください。

いかがでしたか?

いかがでしたか?胃薬のことがわかっていただけたでしょうか。

普段症状がなくても、暴飲暴食やストレスによって症状が現れることも少なくないため、適切に食事と睡眠をとり、健康的な生活を心がけることも重要です。

すでにお薬を飲まれている方は飲み忘れによって症状が悪化する可能性もあるので、処方通り飲み忘れないようにしましょう。

また症状があれば、ひどくなる前に医療機関を受診するようにしましょう。