土谷総合病院

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診療科・各部門

Introduction of Department

腎・血液浄化療法科

特色

概要

1966年より透析療法を開始し、これまでに7,500名の患者様を導入加療してまいりました。如何なる腎不全、臓器不全にも対応するという基本方針の下、その時々の新しい技術、知識を取り入れております。現在、①早期腎疾患および保存期腎不全患者の治療、②慢性腎不全患者の血液透析療法の導入とその合併症の治療、③慢性腎不全患者の腹膜透析療法の導入とその合併症の治療、④急性腎不全患者の薬物治療と急性血液浄化療法、⑤透析バスキュラーアクセス治療の5つの柱で治療を展開しております。これらの治療を行うために、外科医、腎臓内科医が協同して診療に当たっております。

腎臓の機能

腎臓の最も重要な役割は血液を濾過して尿をつくり、これを体の外に排泄することです。食事や飲水などによって体に溜まる余分な水分や酸・電解質、老廃物を尿として体の外に排泄し、必要なものは再吸収して体内に留め、体内の環境を維持しています。

また、腎臓は血圧を維持するホルモン(レニン)や血液をつくる造血ホルモン(エリスロポエチン)をつくり、血圧のバランスをとったり、貧血を防いだり、カルシウムを吸収して骨を作るビタミンDを活性化して、骨の量、質やカルシウムバランスを維持しています。

慢性腎臓病・腎不全

慢性腎臓病(CKD)とは、3か月以上持続する尿異常(尿蛋白・血尿)、腎形態異常、または、腎機能が約60%未満にまで低下した状態を言います。腎機能が約60%未満に落ちると、蛋白尿、血尿、高血圧症、血清クレアチニン値の上昇や浮腫(体のむくみ)が起こってきます。更に腎臓の機能が低下し、腎不全の状態になると、息切れ、肺水腫(胸に水が溜まる)、アシドーシス(体に酸が溜まる)、高カリウム血症、高リン血症、尿毒症(気分不快・食欲低下・嘔吐・意識障害)、貧血、低カルシウム血症、骨粗鬆症が起こってきます。正常の15%以下の腎機能となり、透析や移植が必要か、必要に差し迫った状態を末期腎不全と言います。

慢性腎臓病・腎不全の治療

早期腎疾患治療

尿異常や血液検査での血清クレチニン値の異常があれば、受診をおすすめします。当院では、血液検査、尿検査に加えて、必要に応じて腎生検を行い、その結果と診断に基づいた治療を行います。早期から治療を開始することにより、慢性腎臓病の進行を遅らせることができます。

保存期腎不全治療

慢性腎不全は現在の医療では不可逆性(元の正常な状態に回復しない)であり、そのほとんどが末期腎不全に進行しますが、適切な治療によって、末期腎不全にいたる(透析もしくは移植が必要になる)時期を遅らせることができます。具体的には、原疾患(腎不全の原因の病気)の治療(糖尿病、多発性嚢胞腎、腎炎の治療)、薬物療法(高血圧症、高コレステロール血症、肥満等の生活習慣病に対する治療)、栄養指導(減塩・低蛋白食)、生活指導(適切な運動、禁煙、鎮痛薬・造影剤等の腎毒性物質の制限・不使用)を行います。

また、腎不全による症状に対する治療として、利尿剤(浮腫の治療)、エリスロポエチン(貧血の治療)、カリウム降下薬(高カリウム血症の治療)、リン降下薬(高リン血症の治療)、重曹錠(アシドーシスの治療)、活性炭(尿毒症の治療)等の投与を行います。

末期腎不全治療

末期腎不全に至った場合(概ね正常の10%以下の腎機能)は、回復の可能性がなく、尿毒症(消化器症状、易疲労感、意識障害)や高カリウム血症(不整脈、心停止)、心不全、呼吸不全(肺水腫)等により、重篤な状態に陥る可能性があります。末期腎不全では、薬物療法でのコントロールが困難となり、透析や移植の適応となります。

腎臓に代わって人工的に体の血液を浄化する働きを代行する方法が透析療法です。透析療法を受けることにより、生命を維持することができ、状態が安定すれば、日常生活が可能になります。透析には、血液透析と腹膜透析の2種類があります。

当院では、血液透析と腹膜透析の両者を行っております。療法選択外来を受けていただき、自分に最も合った(医学的条件だけでなく、ライフスタイルや年齢、性格等も考慮した)治療を選択していただいております。選択の基本的方針は、腹膜透析のバック交換をご自分でできる患者様には最初に腹膜透析をお勧めします。腹膜透析には残腎機能が保持できるという利点があり、導入後数年間(5年程度)は安定した社会生活を送ることができます。その後残腎機能の低下にしたがって血液透析を併用していきます。その際、使用する透析液は完全に清浄化されています。

血液透析療法

血液透析は、血液の体外循環により人工腎臓に血液を通して尿毒素を除去するものです。腕の血管(バスキュラーアクセス/シャント)に針を刺し、ポンプを使って血液を体の外に取り出し、ダイアライザー(透析器)に循環させて血液中の尿毒素、水分や塩分を除去した後、体に戻します。標準的には、当院の関連透析施設に外来通院していただき、専門のスタッフによって、週3回・1回3~5時間の透析を受けていただきます。定期通院によって、腎性貧血への治療対策、全身性合併症等の評価、定期検査による透析効率評価や薬剤投与による合併症予防等を行っております。

血液透析では、短時間に多くの血液を清浄化するために、バスキュラーアクセス(自己血管内シャント、人工血管内シャント、動脈表在化、もしくはカフ型カテーテル)の手術(局所麻酔もしくは伝達麻酔下)が必要になります。

夜間透析は、状態が安定している方や日中の仕事をされている方に適しており、当院の関連透析施設で受けていただくことが可能で、透析療法と社会生活の両立をサポートしております。

在宅血液透析では、施設のスケジュールに拘束されない自由な時間を、家族と共に過ごすことができます。また、長時間透析、短時間頻回透析で透析量を十分に確保できるため、生命予後の改善が示されています。

→在宅血液透析とは

腹膜透析療法

腹膜透析は、腹腔内(お腹の中)に透析液を注入し、一定時間貯留している間に腹膜を介して血液中の尿毒素、水分や塩分を透析液に移動させ、十分に移動した時点で、透析液を体外に排液することにより血液浄化を行うものです。透析液は、外気に触れることはなく、通常は自然の落差を利用して透析液の交換を行います。透析液のバック交換は、自宅や職場で通常1日4回行い、1回の交換時間は約30分です。日中の交換をなくし、夜間就寝中に機械を使って透析液の交換を行うシステムもあり、透析療法と社会生活の両立が可能となります。バック交換は、一般的には手動で行いますが、高齢者や視力障害者、手の障害者に対しては、機械を使用して、バックの交換と殺菌を自動的に行う方法もあります。

腹膜透析では、手術(全身麻酔)により透析液の出し入れをするための腹膜透析カテーテルを腹腔内に埋め込む必要があります。腹膜透析カテーテルを長期的に使用するためには、カテーテルの出口部および周囲の清潔を保ち、感染予防に努める必要があります。

急性腎障害治療

急性腎障害(AKI)、急性腎不全に対し、薬物療法や点滴治療を行い、腎機能を回復させます。これらの治療では、改善が見込めない場合や重篤な状態の場合には、集中治療室(ICU)での持続的血液浄化療法を行い、腎機能が回復するまでの間、血液中の尿毒素、水分や塩分を除去します。持続的血液浄化療法では、24時間かけて、ゆっくりと透析を行います。当院は、24時間治療可能な体制となっております。持続的血液浄化療法では、一時型の透析用カテーテルを挿入(局所麻酔下)する必要があります。

透析バスキュラーアクセス治療

血液透析では、バスキュラーアクセス(自己血管内シャント、人工血管内シャント、動脈表在化、もしくはカフ型カテーテル)の手術(局所麻酔もしくは伝達麻酔下)が必要になります。当科では、バスキュラーアクセスの造設および合併症に対する手術、経皮的シャント血管拡張術(シャントPTA)を行っており、薬剤溶出バルーンやステントグラフト等の新規デバイスも積極的に導入しております。当院では、バスキュラーアクセス作製・治療外来を開設しております。

→バスキュラーアクセス作製・治療外来について

下肢末梢血管疾患治療

放射線科、血管外科、皮膚科と連携し、積極的に透析患者の下肢末梢血管疾患(下肢閉塞性動脈硬化症)の治療(経皮的四肢血管拡張術等)を行っています。

→下肢閉塞性動脈硬化症

連携医療

土谷総合病院では、上記のCKD、AKI、腎不全、合併症に対する入院加療を主に行い、透析患者の安定後の外来維持透析療法は、中島土谷クリニックもしくは大町土谷クリニックで行っています。また、長期療養が必要な方は、阿品土谷病院で入院加療させていただきます。

診療内容

腎疾患、腎生検、急性・慢性腎不全治療、血液透析療法、腹膜透析療法、血液浄化療法(血漿交換療法含む)、腎不全外科、透析バスキュラーアクセス治療:シャント手術(自己血管内シャント・人工血管内シャント・動脈表在化法・シャント瘤手術)、経皮的シャント血管形成術・血栓溶解術・血栓除去術、シャント感染症治療、長期留置型血液透析カテーテル挿入術、その他の合併症治療

認定など

  • 日本透析医学会専門医制度認定施設
  • 日本腎臓学会認定研修施設
  • 日本外科学会外科専門医制度修練施設
  • 日本内科学会教育関連施設

関連透析施設

中島土谷クリニック、大町土谷クリニック、阿品土谷病院